iBLab | Interdisciplinary Biology Laboratory, Nagoya University
      名古屋大学異分野融合生物学研究室

  1. Event 2月のiSeminar 「光遺伝学技術のこれまでとこれから」 は2月28日15:00 開始です。 ( )
  2. News 吉村雷輝氏、中村直俊氏、岩見真吾氏らの論文が PNAS Nexus にて掲載されました。R. Yoshimura†, M. Tanaka†, M. Kurokawa†, N. Nakamura‡, T. Goya‡, K. Imoto, M. Kohjima‡, K. Fujiu, S. Iwami§ and Y. Ogawa§, Stratifying and predicting progression to acute liver failure during the early phase of acute liver injury, PNAS Nexus, 4(2):pgaf004 (2025). (†, ‡, § Equal contribution) ( )

CONCEPT

異分野融合研究の歴史をリアルタイムに築いていく

iBLab (異分野融合生物学研究室) は、数理モデルとコンピュータシミュレーションを駆使し、異分野にまたがる生物学研究を進める、国内ではじめての異分野融合生物学の研究拠点です。

近年、最先端計測機器の登場により、生命を構成する最小単位である個々の細胞レベルで生命現象を理解する試みが始まっています。これらのアプローチには多種多様かつ膨大なデータを伴いますが、巨大データが持つ情報を100%抽出し、利用することは極めて困難です。従来の手法で取得される臨床・実験データでさえ、内包する情報を不完全にしか利用できていない場合もあります。しかし生命現象は本質的に高次元で非線形であることを考えれば、数理科学、情報学、物理学など、異なる分野で開発されてきた理論や蓄積されてきた知見を利活用することで、データを制することが期待できます。つまり、生命現象の理解のために適切な分野を融合することで、定量的な観点からメカニズムを追求する次世代の生命科学分野を創出できます。

私たちの研究の“心臓”となっている武器は「数理モデルとコンピュータシミュレーション」です。これらの武器をもって、異分野のクロスオーバーを前提とした生物学研究を進めています。臨床や実験研究の現場に入り込み、データ取得前段階から研究デザインに限界までコミットする等、人⇔人あるいはグループ⇔グループの有機的連携を重視した研究スタイルをこれまで貫いてきました。

私たちの究極の目標は、生命の発生から死に至るまでの現象を定量的に理解することです。特に、病原体感染や遺伝子異常により誘導される恒常性の変容や破綻が引き起こす表現型とその制御・操作に関連した研究に注力しています。さらに、遺伝子発現からタンパク質生成、細胞の機能とそれらの相互作用の変化に伴って、システムとしての細胞群が生体内の組織を維持し、変容させるに至るまでの時間変化を統合的に記述するための研究も精力的に推進しています。

このように私たちは、様々な生命現象のエンジンになっている『増殖・分化・感染・変異・進化・適応する要素』が組み合わさって創発するシステムの定量的分析を可能にするユニークで汎用性の高いアプローチを、分野の枠にとらわれないスタイルで研究しています。ともに研究を進めていく研究室のメンバーや共同研究者との連携を最大限に活かし、生命医科学分野に極限まで切り込むことで、私たちは新時代の生命医科学研究を実現していきます。

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