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iBLab始動!× 第1回iSeminar開催
2021年4月から、名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻にて、iBLab (異分野融合生物学研究室)が始動しました!
このブログでは、これからiBLabがさまざまな活動を行う中で、研究者って普段どんな活動しているの?このラボはどんな活動をしているの?という内容を、だいたい週一のペースでレポしていきます。
私は、今回からブログを担当するKKと申します。
「誰?」という感じだと思うので、先に自己紹介をします🙋♀️
私はこの4月から、名古屋大学にiBLabが発足するに伴い、広報、サイエンスコミュニケーターとして活動を始めました。
元々は名古屋大学の法学部出身で、基礎レベルの生物学を履修したのみのサイエンス素人です。
大丈夫なのか!?という感じですが、このブログ、皆さんとサイエンスについて一緒に学ぶ気持ちで、楽しもうと思います。
これを読んでいらっしゃるあなたは、既にサイエンスの分野で活躍されておられる方、もしくは今勉強中の学生さんかもしれません。
または、サイエンスとは縁がなく生きていたつもりが、なぜかこのページにたどり着いた…という方もいるかもしれませんね。(私のように🙍♀️)
このブログでは、後者のような方にとって「へえ~生命科学のラボって、そういう活動もしているんだ」「難しくて無関係だと思っていたけれど、自分と関係ある内容だな…」と思ってもらえるような発信を目標にしています😊
「こんなことが知りたい!」というご意見やご感想お待ちしています。
さて、今回は、4月5日に開催された第一回 異分野融合セミナー iSeminar についてです!
そもそもiSeminarって何?という方も多いと思うので、軽く説明をします。
iSeminarとは、生命医科学に関わるさまざまな分野を牽引する12 名の研究者が主催するオンラインセミナーです。
「招待コメンテーター制度」というものを導入し、該当分野の第一人者の先生方を複数名、コメンテーターとして招待。議論をより広げ、より深めることを試みています。
ZOOMで視聴するオンライン講演なので、学生や一般の方も事前登録をするだけで気軽に参加ができます。
今回は初回にも関わらず、130名近くのお申し込みをいただき、盛況でした!
ありがとうございました🙇♀️
科学立国と言われる日本ですが、その最前線でどんな研究がされているのかを直接耳にする機会って、日常生活ではあまりないですよね。(ニュース番組で専門家が話しているのを聞くくらい…という方も、多いのではないでしょうか。)
私自身、サイエンスの講義をまともに聞いたのは大学時代が最後。
しかし、コロナ禍で再認識されたように、生命科学の分野は、私達の生命活動にとって、もっとも身近かつ直結する健康と生命の問題を解き明かし、改善していく学問です。
もっとも身近な問題と言っても過言ではありませんね。
いま、生命医学の専門家ではない人こそ、専門家の研究を聞き、新しい視野や知見を得る意味は大きいのではないでしょうか。
私はそのひとつの機会としてiSeminarを捉えています。
「・・・とはいえ、非専門家が専門家の発表を聞いたところで、ちんぷんかんぷんなのでは?」という点については、このiSeminarは比較的親切だと思います。笑
今回も、非専門家も聴いていることを前提にしているため、前提知識を導入として説明してくださっていました(ありがたい!!)。
新しい分野に興味が出て、学んでみようという良い契機になるので、学生さんにとっても面白い講演だったのではないでしょうか。
記念すべき第一回のテーマは、「神経回路の舞台裏:アストロサイトによる脳機能修飾とその破綻」。
講演者は、理化学研究所 脳神経科学研究センター・チームリーダーの長井淳(ながいじゅん)先生。
『早稲田大学大学院生命医科学専攻で神経発生・再生における研究を行い、2015年に博士(理学)を取得。脳の状態変化はニューロンのみならず多細胞の相互作用の影響があることに興味を持ち、2016年よりカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部にてアストロサイトのGPCR/Ca2+シグナルの観察・操作に関する研究をポスドクとして行った。2020年11月より現職。2013-2018年JSPS特別研究員(DC1, PD, 海外)、2018-2019年上原記念生命科学財団ポスドク。1992-2015年ピアノが特技。2016年-現在クラフトビールにハマる。 HP: https://junnagai-lab.com/』
画像・紹介参照:iSeminar 公式ページ https://iseminar.weebly.com
爽やかですね~!!ピアノが特技っていうのがぴったりです。
さて、テーマを見た瞬間に、「アストロサイト???」と思われた方もいると思います。(私もその一人です。)
アストロサイトは、グリア細胞の一種、とのこと。
ではこのグリア細胞って何かというと、神経細胞の生存や、発達機能発現のための脳内環境の維持と代謝的支援を行う細胞なんだそうです。
そもそも脳は、1000億個以上のニューロンと、その10倍以上ものグリア細胞から成り立っていてグリア細胞は、神経回路と相互作用をしていることがわかってきたんだとか。
とはいえ、その相互作用の仕組みにはいまだに謎が多いのだそうです。
そこで長井先生の講演では、「グリアの一種であるアストロサイトの役割の一端を分子・細胞・回路・行動レベルで解明する」というテーマで発表をされていました。
アストロサイトの「アストロ」は「星状の」という意味で、沢山の突起を伸ばし、脳空間を満たしています。
これにより、ニューロンのネットワークを固定し、ニューロンに栄養を渡している、ということです。
長井先生の発表では、「線条体」という回路に注目されていました。
これは運動調節・認知・強化学習に関わっている回路で、パーキンソン病、ハンチントン病、薬物依存などの異常時に変化が見られる部位とのことです。
線条体ニューロンが活動時に放出するGABA: γ(ガンマ)-アミノ酪酸(そういえば、ストレスを和らげるとされるGABA入りチョコなどがありますね)が、アストロサイトのGABAB受容体(Gi-GPCRの一種)というところを活性化し、Ca2+シグナルを上昇させる、と説明されていました。
マウスにGi-DREADD刺激を与えたところ、アストロサイトCa2+シグナルが上昇し、マウスが注意散漫に。
つまり、成体マウスの線条体において、アストロサイトが活性化すると、ヒトでいう注意欠陥・多動性障害(ADHD:Attention deficit/Hyperactivity disorderの行動として観察される、とのことです。
グリア細胞のgliaという語は、膠(にかわ、英: glue)を意味するギリシャ語が由来ですが、その実、アストロサイトは主体的に行動を変化させうる…というところが、面白かったです。
コロナ禍も後押しして始まったオンラインセミナーですが、さまざまな分野の融合、人間の考え方や関係性を、どこまで広く、深く繋ぐ契機となるか、楽しみです。
5月のiSeminarはどんな話が聞けるのか、講演情報チェック、登録等は、以下のウェブサイトから!
新情報はTwitterでも随時発信していきます。次回も皆様のご参加、お待ちしております!😊
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