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シンポジウム:社会課題は数理科学で解決できる!?
こんにちは🍁
今日は、10月26日に開催されたシンポジウム「社会課題は数理科学で解決できる!? -試みと課題-」のレポです。
コロナ禍ということで、Zoomによるオンラインと、名古屋大学 野依記念学術交流館オンサイトの、ハイブリッド開催でした!
オンライン・オンサイト合計では、260名を超える皆様にご登録いただきました。
オンサイト会場では、新型コロナウイルス感染症対策を行なった上で、20名ほどが参加されました。
シンポジウムコメンテーターとして、株式会社日立製作所の長谷部信行先生、東京大学の合原一幸先生、北海道大学の西浦廉政先生をお招きし、数理生物学の研究者側からの視点と、産業界からの視点それぞれから講演が行われました。
パネルディスカッションでは、Zoomと現地を連携した形で実施されました。
大画面には、スライドと共に、各パネリストの先生方のZoom画面が映し出されていて斬新でした😲
「社会課題は数理科学で解決できる!?」
この投げかけ、インパクトがありますね。
数理科学が、私たちが営む現実的な日常生活のシーンにどれだけ有用か、という実質的な意義を問いかけているように感じます。
「数学ってなんのためになるの?」「それで、この理論が何に役立つの?」
実際、数学や数理に対するこの疑問は、一般的な反応としてあります。
社会における数理科学の印象・捉え方は、まだまだアカデミックな世界としての線引きが強くあるためです。
20世紀末には数学を社会的構成物とみなす構成主義が台頭しましたが、実際のところ、数理は形としては見えにくい、でもあらゆる科学の基礎を築いているという事実は、社会的実感として共有されていません。
この問題意識から、今回のシンポジウムは、数理科学のアカデミアと、社会、現場、産業界をいかに繋いでいくのか、を率直に議論する場であったと思います。
講演では、シーズ、ニーズ、マッチング…それぞれの立場を意識した、課題の共有がされました。異分野融合しかり、他分野との共創・参画においては、互いの文化的・経済的価値観や使用する「言語」の違い、コミュニケーション不足といった問題点が常にあることも改めて認識できました。
さらに、インターンシップ制度、共同研究に繋げる取り組み、卓越社会人博士課程制度など、契機となる先進的な取り組みが紹介されており、具体的に知ることができた点も良かったです。
今回のシンポジウムでは、日本では他の先進国と比べ、産学連携の歩みが遅れている現状も指摘されました。
文化勲章に選ばれた京都大の森重文特別教授は、以前、このように語っています。
「私の研究はすぐ社会の役に立つものではないけれど、役に立つ研究をしている人のベース、川上のところにあります。役に立つための研究は、応用の現場に応じて刻々と状況が変わるし、研究自体がすぐ無意味になってしまうこともある。そういうときに川上、基礎の研究がしっかり身に付いていれば、そこに立ち返ってまたすぐ役に立つ研究が始められます」
https://news.yahoo.co.jp/articles/3596d88217abd5b53f58cba7a29bb633d4f048f3?page=1
産学連携を進める上では、互いにどのような役割を担い、関係性を構築するかの模索もまた必要なのかもしれません。
今回が、その長い対話の第一回目になったのではないかと思います。
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