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ネオウイルス学!

こんにちは🌞

今回は、今年3月に発売された集英社新書、「ネオウイルス学」をご紹介します。

「ネオウイルス学」って何でしょうか?🤔

 本書では以下のように定義されています。

『ウイルスの機能メカニズムをより深く追究し、生物の生命活動や生態系におよぼす影響、自然界におけるウイルスの存在意義を解明する、新しいプロジェクト』(p5)

そもそもウイルス学の歴史は、遡ること19世紀末。

語源のvirusもラテン語で「毒」を意味するように、これまではウイルスを病原体として捉える研究に偏ってきました。

そんな中、2016年に、ウイルス学の世界的権威・河岡義裕先生を領域代表者として、害だけでなく益を生み出すウイルスの側面に注目した「ネオウイルス学」が発足した…という経緯なのだそうです。

ウイルスの「益」の部分として本書で述べられていたことを、いくつかピックアップしてみます。

①    ウイルスには、病気を起こすだけでなく、感染した動物を病気にかかりにくくする性質もある。

 ②    ヒトのゲノムの中にも、ウイルス由来のゲノムが組み込まれており(「内在性ウイルス」)、ヒトの全ゲノムのうち約8%がウイルス由来のゲノムだと分かってきた(ヒトを含む哺乳類が胎盤を形成するときに、ウイルスから取り込んだゲノムが利用され、大きな役割を果たしているという例が挙げられています)。

③    海洋環境で、珪藻個体群は、ウイルスを利用しながら自分たちの細胞集団を若返らせ整えている。

特に①の、「病気を引き起こす」ものとして捉えられているウイルスの「善玉」的役割、というのは、コペルニクス的転回ですね!

 身近な例に、ヘルペスウイルスの話がありました。

ヘルペスウイルスは、一度発症すると宿主の細胞内に一生留まり続け(「潜伏感染」)、再発することもあります。(私も何度か口唇ヘルペスに悩まされました…😭)

 しかし、ヘルペスウイルスの潜伏のおかげで、消化酵素の合成などに影響を与えていたり、他の病気に感染しにくくなっているという側面もあるそうです。

 普段、日常生活においてウイルスの恩恵に目がいくことは皆無に近く、顕在化する害の側面ばかり認識していたのだな、と感じました。

 本書では、ウイルス粒子像を「視る」ことや、ウイルスハンティングの活動、医療・疫学データの数学的解析など、「ウイルスとは何か?」という実像を解明する試みが、多様な視点で紹介されています。

ネオウイルス学は、アウトブレイク時の感染症対策における基盤を築くだけでなく、普段何気なくウイルスと共生している私たちの生を知ることに繋がっている、という印象を得ました。

 ウイルスに興味のある方はもちろん、ウイルスについてあまり学んでこなかったという方にとっても読みやすく、発見の多い本かと思います。

こちらから購入できます。ぜひ手に取ってみてください✨

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