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数理科学と臨床薬理の交差点へ!「数理薬理シンポジウム2026」を開催しました
こんにちは🌿
2026年7月31日(金)〜8月1日(土)の2日間、北里大学 白金キャンパス 大村記念ホールにて、「数理薬理シンポジウム2026」が開催されました!
テーマは、数理科学が切り拓く、新たな臨床薬理学の世界へ。
医薬品開発や臨床現場で重要性を増している「ファーマコメトリクス」を軸に、薬物動態学・薬力学・生物統計学・医学・データサイエンスなど、さまざまな領域の研究者・実務家が集まりました。
今年のシンポジウムで印象的だったのは、数理モデルを「研究のための解析手法」として考えるだけではなく、創薬から臨床まで、実際の意思決定にどうつなげていくのかという議論がより前面に出ていたことです。
今回は、参加者アンケートから見えてきた声も交えながら、2日間を振り返ります!

そもそも「数理薬理」とは?
「数理薬理」と聞くと、少し難しそうに感じるかもしれません。
数理薬理とは、簡単にいえば、数理モデルやAIを使って、創薬から臨床までのさまざまなデータをつなぎ、よりよい薬をつくり、よりよく使うための意思決定を支える分野です。
たとえば、新しい薬を開発するとき。
すべての可能性を実際の実験や臨床試験だけで確かめることはできません。そこで、基礎研究から非臨床・臨床試験までのさまざまなデータを活用し、病気がどのように進行するのか、どの患者さんが将来どのような経過をたどるのか、薬によってその経過をどのように変えられるのかを、数理モデルやシミュレーション、AIを使って理解・予測します。
こうした予測をもとに、創薬の初期段階から臨床での薬の使い方まで、よりよい意思決定を支えるのが数理薬理です。
近年ではPK/PDだけでなく、QSP(Quantitative Systems Pharmacology)、Virtual Population、リアルワールドデータ(RWD)、AI・機械学習などとの接点も広がっています。
今回のシンポジウムでも、こうした多様なアプローチが登場しました。
参加者アンケートでは、「数理モデルだけでなく、データサイエンスや医療との繋がりが意識される演題が多く非常に刺激になった」「様々な分野における数理モデルやVirtual Population、AI等の活用事例を学ぶことができた」といった声も寄せられています。
つまり今、数理薬理は一つの専門領域の中だけで完結するものではなく、医薬品開発や医療をめぐるさまざまな分野をつなぐ“共通言語”になりつつあるのかもしれません。
企業・アカデミア・規制当局、それぞれの視点から
企業には「実際の医薬品開発にどう使うか」という視点があり、アカデミアには「新しい方法論やモデルをどう生み出すか」という視点があります。そして規制当局には、「そのモデルやデータを、どのような根拠として評価できるのか」という視点があります。
同じ「数理モデル」を見ていても、立場によって問いは少しずつ異なります。
だからこそ、それぞれが同じ場所で議論することに意味があります。

アンケートでも、
「今回は企業、アカデミア、規制当局で均等に発言されていた印象を受けた」
「製薬や規制当局の参加者から、その立場からの考え方や物事の見え方、許容範囲とその根拠などを伺うことができて非常に有意義だった」
という声がありました。さらに、「臨床家の立場が加わると、実装に向けた方向性がより明確になるのでは」という提案も寄せられています。
これは数理薬理が、「良いモデルを作る」だけの段階から、「そのモデルを誰が、どこで、どのように使うのか」を考える段階へ進んでいることの表れともいえそうです。
「聞く」だけではなく、「つながる」場へ
今年は講演だけでなく、ポスターセッションも交流の場となりました。
参加者からは、「アカデミア・企業間で様々な交流が行われる機会となり大変良かった」「参加者と幅広く交流できる良い機会だった」という声が寄せられています。
実際、アンケート回答者60名の内訳は、企業32名、大学・研究機関26名、官公庁1名。異なるバックグラウンドを持つ参加者が集まっていました。総合満足度についても、「非常に満足」が40名、「やや満足」が17名と、多くの方から高い評価をいただきました。
一方で、セッション間の時間配分、会場環境など、今後改善すべき点についても具体的な意見をいただきました。 交流の機会を設けるだけではなく、実際に対話が生まれる仕組みまでデザインすることも、次回への課題です。
次に求められているのは、「もっと深く」と「もっと入りやすく」
そしてアンケートで興味深かったのが、今後取り上げてほしいテーマです。
MIDDやICH M15、QSP、PK/PD、RWD、因果推論、Digital Twin、AI/ML、非臨床から臨床へのトランスレーションなど、非常に幅広いテーマが挙げられました。
なかでも複数見られたのが、「具体的なモデルや実用例を、さらに深く知りたい」という声です。
一方で、「QSPや機械学習に関する教育セッションがほしい」「学生や若手研究者向けにEducationalなセッションがあってもよい」「基礎的な内容もあると学生が参加しやすい」といった声もありました。
一見すると、
もっと専門的に深くしてほしい。 でも、初学者も入れる場所にしてほしい。
という、反対方向の要望にも見えます。
しかし、これは数理薬理という分野が広がっているからこそ生まれる課題なのだと思います。
最先端の研究を議論する場であると同時に、異分野の研究者や学生、これから数理モデルを使おうとする企業研究者が入ってこられる入口も必要になる。
専門性を深めながら、分野の裾野も広げる。
その両方をどう実現するかが、これからの数理薬理コミュニティにとって重要になりそうです。
シンポジウムから、継続的なコミュニティへ
現在動きつつあるのが、「数理薬理コンソーシアム」の構想です。
シンポジウムのように年に一度集まるだけではなく、企業・大学・研究機関・官公庁・学生などが継続的につながり、教育、人材交流、共同研究などを進められる場をつくる試みが始まろうとしています。
アンケートには、こんな声もありました。
「学際領域の交流や異分野融合という言葉はよく目標に掲げられるが、実際にどのように実現、実行に移せば良いのか頭を悩ませることが多い。」
だからこそ、多分野・多様な立場の人が率直に意見を交わせる場そのものに意義がある、という期待が続いています。
これは、昨年のシンポジウムでも語られていた「異分野をどうつなぐか」という問いの、もう一歩先にある課題なのかもしれません。
シンポジウムを支える運営体制
こうした交流の場をつくるうえでは、プログラムの内容だけでなく、それを支える運営の仕組みも整えていく必要があります。
数理薬理シンポジウムは今年からイベント管理システム「Convia(コンビア)」を導入しました。
今回、ほとんどの参加者が事前にConviaが自動生成する名札を印刷してくださったため、当日は名札のQRコードでスムーズに受付を進めることができました。
準備段階でも、タイムテーブルや抄録集をシステム上で簡単に作成でき、運営にかかる手間を減らせました。
今後、コンソーシアムとして活動を広げ、シンポジウムの規模も大きくなっていくことを見据えながら、運営体制についてもさらに整えていきたいと思います。
ご参加いただいた皆さま、登壇者の皆さま、ありがとうございました!
今後の活動にも、ぜひご注目ください🌿
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