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最新研究 × 新型コロナ臨床試験!
こんにちは🌞
今回は、今月プレスリリースされた、iBLabと共同研究グループ(名古屋大学、九州大学、米国インディアナ大学)による最新の研究についてご紹介します✨
共同研究を活かし、数理科学や感染症疫学などの異分野融合研究としての側面もあります。
「新型コロナウイルス感染症の“臨床試験シミュレータ”を新たに開発した」という内容でPLOS Medicineに掲載され、新聞各紙で取り上げられました。
🔻掲載リンク
https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1003660
「コロナのワクチンが普及し始めて話題になっているけど、治療薬は?😥」
現在、そんな疑問を持つ市民は多いのではないでしょうか。
実際、現在複数の治療薬が候補に挙がっていますが、有効な治療効果を確認した臨床試験は多くはありません。
この理由を探るため、iBLabは、新型コロナウイルス患者の臨床データを収集し、数理モデルを用いて分析しました。
その結果、患者間でウイルス排出量、特にウイルスの「減衰速度」に大きな差があることを見出しました。
早く治る人もいれば、治るのが遅い人もいるってことですね😲
このように、そもそもウイルス排出量に差がある中で、感染者に新しい抗ウイルス薬剤を投与し効果を観察する「観察研究」では、治療効果の評価をするのは難しいという現実があります。
そこで、ランダムにグループ分けした感染者に対し、治療薬とプラセボ薬を投与し、効果を比較検討する「ランダム化比較試験」に注目。
数理モデルを用いてランダム化比較試験を再現するシミュレータ(シミュレーションのためのソフトウエア)を開発しました。
ただ、このシミュレータの結果、効果の高い薬剤であっても治療効果を確認しようとした場合、なんと1万人を超える被験者が必要なことがわかりました。
1万人の被験者って、日本ではとても集められる数ではないですね…🤔
そこで、被験者を発症後間もない患者のみに限定。
これにより、必要被験者数を500人程度に抑えることができることを世界で初めて示しました。
このシミュレータは、既に医師主導臨床試験(jRCT2071200023)の設計に用いられているそうです。
新興・再興感染症の発生時には、「いかに早く治療法が確立されるか」が、私たち市民の最大の関心ごとの一つ。
発生するたびに未知の恐怖で社会が震撼してきたパンデミックの人類史の中で、今回のコロナ禍もまた、感染症対処における現在地点を示し続けています。
標準治療の確立を加速させるために、効率的な臨床試験のデザインや、異分野融合研究による知見の構築が鍵となってきているのかもしれません。
ぜひ、チェックしてみてください。
🔻最新の研究成果のメディア掲載情報などはTwitterで発信しています。