iBlog
ブログ

医薬基盤・健康・栄養研究所・國澤純先生とPodcast!

こんにちは🌞

今回は、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長の國澤 純先生とのPodcastについて振り返っていきます。

医薬基盤研

國澤先生は、ワクチン・マテリアルプロジェクトと、腸内細菌プロジェクトに所属し、それぞれの側面から、「個別最適化」を目指した研究を先導されています。

個別最適化とは、ヘルスケアや病気の治療法において、一人一人に合わせた最適な対応をする、ということ。

例えば、同じワクチンを打っても、免疫や副反応には個人差があります。「体にいい」と言われる食べ物を食べても、体調が良くなったと感じるかは人によりますよね。

このように、これまで個々人の「体質」の差だと思われてきた特徴の要因が、徐々に明らかになってきているのです。

今回は、Amazonでベストセラー中の話題の著書、「9000人を調べて分かった腸のすごい世界 強い体と菌をめぐる知的冒険」をもとに、國澤先生の腸内細菌の研究に焦点をあて、腸内細菌の驚くべき世界についてじっくりお伺いしました!🙌

國澤先生著書

▶︎9000人を調べて分かった腸のすごい世界 強い体と菌をめぐる知的冒険

▶︎「便秘解消」「ダイエット」「免疫力アップ」さまざまな健康効果を最大化する! 「善玉酵素」で腸内革命


  • 日本人の「痩せ菌」が明らかに!

  • ポストバイオティクスって?

  • 腸内細菌もダイバーシティがだいじ!

  • 精密栄養学が見据える未来


日本人の「痩せ菌」が明らかに!

「お腹の中には、一つの生命体のようなものがあり、腸内細菌と私たちヒトは共生しています。体内に生息する菌の数は100兆個にも及ぶと言われていて、数でいえば、私たちがむしろ飼われているのかもしれません」と國澤先生。

腸内細菌というと、お腹の調子を整える役割が真っ先に思い浮かぶ人が多いと思います。しかし、それだけではありません。

疲れやすさや、体の冷えやすさ、肌荒れのしやすさ、うつ病、認知症、ストレスの増減、運動能力の良し悪し…。「体質」とされてきたこれらの個人差に、腸内細菌が関わっている可能性があるそうです。

なかでも、國澤先生の最新研究で取り扱われているのは、「太りやすさ」に関わる菌、ブラウティア菌です。

肥満をコントロールしうる痩せ菌として有名なアッカーマンシア菌は、2021年に低温殺菌したものが欧州食品安全機関に承認されています。

しかしアッカーマンシア菌は、多くのヨーロッパ人が有する一方で、日本人は、10人に1人くらいしか有していないそうです。

そんな中、國澤先生のグループの最新研究によって、「ブラウティア菌」という菌が、新たに肥満を予防・改善する効果を持つことが明らかになりました。

嬉しいのは、この菌は日本人の9割が腸内細菌叢の1%以上有しているということです!つまり、私たちが食生活に気をつければ、ブラウティア菌を増やしていくことができるかもしれないということですね。

🔻研究論文もチェックしてみてください!

https://doi.org/10.1038/s41467-022-32015-7

ポストバイオティクスとは?

腸内細菌は、腸の中ではたらく菌です。でも、それが腸の外にあるさまざまな部位に作用しているとなると、腸内細菌が生み出しているものこそが重要ということになりますね。この正体がポストバイオティクスで、腸内細菌が、私たちが食べたものをもとに腸で作り出した代謝物のことを指しています。

ストレス緩和などのリラックス作用があると言われるGABAも、ポストバイオティクスの一つです。

「例えば、大豆イソフラボンを材料にして、女性ホルモン・エストロゲンと似た物質であるエクオールがつくられます。エクオールはポストバイオティクスで、更年期障害を軽くするはたらきがあります。これは日本人女性の半分が作ることができ、逆にいうと、半分の割合の女性は、大豆イソフラボンをとってもエクオールを作ることができません。そういう方は、エクオールそのものを摂った方が良いということになります」

そうなると、自分の腸内細菌について知りたくなってきますよね👀

現在、國澤先生は、個々人が興味ある腸内細菌について気軽に調べられるサービスを開発中とのことです。

自分が栄養を意識して食べたものが、本当に自分にとって効果的だったのかを検証したり、気になる効能を持つとされる菌を意識的に増やしたり、ポストバイオティクスを活用したり…。

そういったヘルスケアが、もっと当たり前にできるようになったら魅力的ですよね。

個別化医療にも通じる視点から言えば、私たち一人ひとりの日々の食生活における選択が、より根拠を持ったかたちで検証され、効果的に実践できるようになるのは、そう遠くない未来なのかもしれません。

腸内細菌もダイバーシティがだいじ!

「9000人を調べて分かった腸のすごい世界 強い体と菌をめぐる知的冒険」では、理想的な腸内環境について、「できるだけ多くの腸内細菌がバランスよく存在する状態」だと記されています。

バランスよく食べることで菌の種類が増え、さまざまな健康効果が得られるようになるためです。

こうした理由から、「〇〇だけダイエット」といったダイエット方法については、腸内環境を破壊するのでおすすめできないということでした。腸内環境もダイバーシティが重要ということですね。

また、納豆やヨーグルトは、納豆菌や乳酸菌、ビフィズス菌がたっぷり含まれる発酵食品ですが、特に地域ゆかりの昔ながらの藁葺きの納豆などは、活きのよい納豆菌が含まれていそうだとか。

近年の都市化で、街が同質化していき、風土に根付いた食品が失われていっているというお話もありました。

食文化の多様性という意味でもやはりダイバーシティが重要だというお話が面白かったです。

その他、納豆やヨーグルトについて、また國澤先生が普段実践している健康の秘訣や、精密栄養学のお話について、じっくりお話をお伺いしています。

ぜひPodcastもチェックしてみてください✨


Podcast:


12月には、國澤先生を名古屋大学にお招きして、公開セミナーが開催されます。

ポストバイオティクスをキーワードに、腸内細菌研究の社会実装、展望なども学ぶことができるセミナーです。興味のある方は、ぜひご参加ください👍

🔻セミナー詳細はこちらから!

https://iblab.bio.nagoya-u.ac.jp/pdfs/event/20231213.pdf

🔻iBLab の各種SNS

https://linktr.ee/iblab