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第6回iSeminar × ファージセラピー!
こんにちは🌤
今回は、9月22日に行われた第6回異分野融合セミナー・iSeminarのレポです!
講演者は、酪農学園大学 獣医学類 獣医生化学ユニット 教授の岩野英知先生。
テーマは、
「敵の敵は味方 !?~ファージの力を利用して細菌と戦う戦略~」。
日本ファージセラピー研究会HP
: https://sites.google.com/view/jp-phage-therapy
iSeminarは今回で6回目を迎えましたが、「ファージセラピー」に関する講演は2度目。
分野的な注目度の高さを感じます。
前回のファージセラピーの講演は、第3回のiSeminarでした。
その時に講演された、自治医科大学 感染・免疫学講座 細菌学部門の氣駕恒太朗先生は、今回は招待コメンテーターとして参加されました。
🔻第3回のiSeminarレポはこちら💁♀️
https://iblab.bio.nagoya-u.ac.jp/post/iblog/6iie0zrEgdfmcN9JP1sHDU
ファージセラピーは、細菌に感染するウイルスであるバクテリオファージを利用した、細菌感染症への治療法。
抗生物質がなかった20世紀の初めから、腸チフス、赤痢、コレラなど、人類にとって大きな脅威であった細菌感染症の治療に利用されてきました。
しかし、1940年代に抗生物質が実用化されていくと、次第に衰退化。
一方、旧ソ連や東欧諸国ではファージ療法が残されていました。
共産圏は、冷戦時代に西側諸国から強力な抗生物質の供給が制限されていたためです。
そんなファージ療法が、再び欧米でも注目を集めています。
抗生物質の効かない耐性菌が出現し、大きな脅威になっているためです。
この再燃には、危篤状態からファージセラピーにより復帰したパターソン症例(Antimicrob Agents Chemother. 2017 61(10):e00954-17)が一役買っているようです。
ファージセラピーの利点は、第3回のレポでも触れたように、たくさんあります。
特定のバクテリアを宿主とし、人や動物に感染せず、細胞叢を破壊することもなく、また、バクテリアがいなくなれば異物として排除されます。
薬と異なり、病原体のいる局所で増殖する、スナイパーのようにはたらくというメリットもあります。
さらに、地球上には既にファージの多様性が担保されているというのも大きな利点として挙げられていました。
ファージに対して耐性化するということについては、ファージに耐性化した細菌は病原性が弱くなること、また、ファージに耐性化した最近は薬剤の効きがよくなるという指摘もあり、本講演では、あえて耐性化を利用していく、という視点がありました。
細菌とファージ。
それぞれ、およそ30億年にもわたり地球上で共進化を遂げて生き延びてきた歴史があります。
その中で、人間がファージを治療として利用し始め、広く実用化に向かう歴史はまだ始まったばかり。
今後も注目していきたいと思います✨
さて、次回の第7回異分野融合セミナ― iSeminarは、
10月12日(水)15:00開始!
講演者は、大阪大学 微生物病研究所・感染症総合教育研究拠点 ウイルス制御学グループ 特任准教授の、田鍬修平先生。
講演タイトルは、「フラビと変異とシャペロンと私」。
招待コメンテーターとして、東京工業大学 科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センターの藤田尚信准教授をお招きする予定です。
詳しくは、以下iSeminar公式HPをチェックしてみてください。
https://iseminar.weebly.com
※参加登録が毎回必要です。以下より、登録お待ちしております😊
https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_rUc9bXk-QumIx5whYutEQw
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